起業家インタビュー
フォーチュン
ファクトリー
株式会社
代表取締役社長
坂内綾花


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転機は上京後のアルバイト生活
元々は飲食店を経営したくて、中学卒業後に専門学校へ進学するために上京したのですが、専門学校は自分が目指していたものと違っていることに気づき、すぐに退学しました。でもすぐにお店を始められる状態ではなかったので、とりあえず飲食店でアルバイトをしながら生活していたんです。具体的に起業を考えたのは17歳の時で、アルバイト先で出会った起業家の方に「起業するなら早い方がいい」と促されたことがきっかけでした。それで、まずは今の自分にできることをしてからでも遅くはないと考えて、ネット通販を始めてみようと思いました。
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過去の経験が事業企画のヒント
メイン事業は、中身が秘密の謎の箱「フォーチュンボックス」が届くという通販です。友人とルームシェアをしていた時、その彼女には定期的に仕送りが届いたのですが、私は一緒にその中身を見るのがとても楽しみでした。その経験が企画のヒントになっています。箱の中身は食品がメインになっているのですが、5~7点の商品が詰め合わさっているので、イメージとしては福袋ですね。商品自体は全て私自身が展示会で探したり、全国のメーカー様からサンプルを取り寄せたりして選んでいて、知名度は低いけれど高品質の物を選んでいます。基本的にはクラウドファンディングと自社通販サイトでの販売で、価格は6千円~1万円程度です。毎回「学び度」「お得度」「新体験度」などの8項目をそれぞれ5段階で表示しているので、それでお客様には購入を検討していただきます。「何が入っているかわからない楽しみ」「お得さ」「新しい出会い」、そして何より「送られてくる製品の品質の高さ」を提供するのがフォーチュンボックスの良さだと思っています。それと、自社商品の企画・販売も行っています。「五感プレミアム」というシリーズなんですけど、形と生地にこだわった「新変形タオル」と、和三盆糖の原料となる岡山県産サトウキビを使用した「竹糖黒蜜原液」です。自社商品はまだ数が少ないので、これからもっと様々な企業様と協力して商品開発していこうと思っています。
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未成年での起業と母の理解
上京して3年後に今の会社を設立しましたが、専門的な知識もなかったですし、会社勤めの経験もなかったのでとにかく知識不足でした。なのでひたすら本を読んで勉強したり、展示会に行ってメーカーの方とお話しさせていただいて、現状を調べたりしました。あと、起業した当時はまだ未成年だったために、何かと手続きには親の同意が必要で。親は新潟に住んでいたので、例えば役所に印鑑証明書を取りに行ってもらうだけでも大変でしたね。高校へ行かずに上京するという人間は珍しいと思いますが、私の性格を母は理解してくれていたので、「誰にも迷惑をかけないようにしなさい」とだけ言われていました。どうせ反対したところでこの子はやるんだな、という感じだったと思います(笑)。
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徹底的な情報収集と行動量の削減
起業する時に多いのが批判的な意見ですが、それらに惑わされないで欲しいですね。今はクラウドファンディングがありますし、SNSを使っていろんな人と繋がれる時代なので、やりたいと思ったことはやっていいと思います。ただ、情報がたくさん溢れているので、本当に正しい情報は何なのかを考えて判断して欲しいです。あと、私はビジネスモデルの勉強を兼ねて物産店のアルバイトをした時に、パンフレットを制作したり、集客キャンペーンの提案などをして、売り上げを伸ばすことに成功しました。そういった成功実績を作ることも自信に繋がります。「失敗から学ぶ」ということをよく聞きますが、私は成功から学んだ方がいいと考えていて。というのも、無謀なチャレンジをしたらすぐに失敗できますし、そこから学べることは少ないからです。もちろん、しっかり準備をした上での失敗には意味があると思いますが、とにかくできるだけ失敗を避けないと、貴重な経営資源である時間やお金、体力、気力がどんどん奪われてしまいます。私にはフォーチュンボックスをもっとより多くの人に知ってもらうという目標があります。そのために自社商品のヒットも狙っていきたいですし、少しずつBtoBのビジネスも行っているので、その分野にも力を入れていけたらいいですね。「選ばないで買う」という新たな常識を一般化していき、何が届くかわからない市場を広げていきたいと思います。
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