起業家インタビュー
スタークス
株式会社
代表取締役
上ノ山慎哉


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後悔しない人生を歩むための決断
大学生の頃、ライブドアや楽天といったITベンチャー起業が台頭してきた時代だったのですが、20~30代の人でも経済界で活躍できる「起業家」という働き方・生き方があるということを知り、面白さやエネルギーを感じました。それがきっかけで、将来は自分も起業家になろうと考えました。それからベンチャー企業に就職したのですが、具体的に企業を決断したのは2011年に起きた東日本大震災の影響です。人生で初めて万単位の方が亡くなったというニュースを聞き、もしかしたらその中には自分よりも能力があったり、努力していた方がいたかもしれないのにと思いました。そして、本人の意志とは関係なく人生が終わってしまったという現実に対して、自分はこのままでいいのか、とも思ったのです。それが金曜日のことだったので、翌週出社した際に、社長に「会社を辞めます」と伝えました。もちろんその場で辞めるのは無責任なので1年後に辞めるということで。ただ、そこからが大変でした。事業内容のアイディアはいくつかあったのですが、どれも決め手に欠けていてずっとモヤモヤしていたんです。でも会社を辞めるタイミングはもう決めてしまっていたので、とりあえず自分が知りうる先輩経営者に会いに行き、話をさせていただくことにしました。そんな中で、とあるベンチャー企業の創業社長さんから、ソフトバンクグループ社長の孫正義さんが28歳の時に行った講演が収録されているCDをいただきました。そのCDの中で、孫さんが経営者にとって一番重要だと言っていたのは「土俵選び」です。どんな市場で事業をやるかが重要だと。そしてその基準となるのが「成長しているマーケットを選ぶ」「シェアNo.1になれる」「社長として情熱を持てる」の3つだったのです。その言葉がすごく心に刺さって、これだ!と思いましたね。
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人手不足を解決する2つの事業
日本は社会課題先進国とも言われていて、課題の1つに少子高齢化に伴う労働人口の減少があるのですが、僕らはテクノロジーを使ってそういった社会の不や課題を解決していきたいと思っています。具体的には「クラウドロジ」という物流業界へのサービスです。物流業界はネット通販事業が伸びているので荷物の数が増えていますが、人手不足で物が運べないとか、倉庫で梱包する人がいないといった問題が起きています。そこで、発送代行をクラウド化することで様々なコストを最適化したり、物流拠点が分散されることで配送時間の短縮を実現するなどして、約600社にご利用いただいています。もう1つは「CS cloud(シーエスクラウド)」。これはネット通販事業者や店舗など、ネットを使って接客をする業界向けのサービスで、約100社にご利用いただいており、AIやテクノロジーを使って顧客対応を自動化する仕組みを作ることで人手不足の問題を解決しています。これからも技術革新がビジネスに多大な影響を与えると思うので、技術の動向には興味がありますし、アメリカや中国といった日本よりも進んでいる国の変革にも意識を向けています。特に中国は政治と企業の結びつきが強く、法改正が早いです。車の自動運転を普及させると言ったら、それに対する法案もすぐに制定されますし、上海などは全ての決済がスマートフォンです。ここ5年くらい現金を見ていないという若い世代がいたり、子どもへのお小遣いを電子通貨で払うことも当たり前になっています。

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世界で必要不可欠なサービスを目指して
起業を考えている皆さんには「世の中の何を変えたいのか」を考えていただきたいです。起業は簡単じゃないので、24時間365日考えていても飽きないことでないと成功しないと思いますし、情熱を傾けられるテーマは何なのかを見つけることが大切。そのテーマが面白くて、たくさんの幸せに繋がるのであれば、応援したいと言う仲間や出資者が集まってくるはずです。僕は今取り組んでいる事業にすごくチャンスを感じています。それは、テクノロジーを使って社会の新しい仕組みを作らないと世の中が成り立たないと感じているからです。日本の少子高齢化は、ある意味では世界の先行事例になっていると言えます。中国ですら少子高齢化に向かっているので、遅かれ早かれ世界中の先進国が今の日本と同じような課題にぶつかるでしょう。スタークスは、その課題を先に解決したサービスとして海外展開できるようになりたいと思っています。
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